藤枝の家
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敷地は家康公が亡くなった城として有名な田中城跡周辺に広がる住宅街の一角にある。主要道路から少し離れ交通量も少なく安心して暮らせる落ち着きある雰囲気を持った場所である。また方位が大きく東にふれていたり、南西方向の隣地建物が長時間に渡り大きな影をおとしていたり、南東方向に桜並木が広がっていたりと、特徴的な要素を持つ立地条件にあり、時間ごとの光の取り入れ方と、桜並木との関わり方が計画をすすめる上でのポイントとなった。まず建物全体を桜並木に向かって開くようなL型に配置し、全室から庭越しに桜が望めるよう開口部を切った。共用空間上部を吹抜け(勾配天井)とし、南西方向のハイサイドライトを設けることで午後からの採光を確保した。また、吹抜けを通して2階と連続した空間になり、空気の循環もスムーズになった。住まい手から要望として出されていた「同居する母親が気兼ねなく過ごせること」については。適度な距離感を保ちつつ共有空間とのつながりも感じられる「廊下」を意図的に設けるなどして、それぞれの居心地のよさを生み出した。この桜並木に望む大きな屋根の小さな家は、3人の子供たちの成長と共に、自然素材がよい味わいを醸し出し、落ち着いた雰囲気の街並みに溶け込んでいくことであろう。