アーキウェルワークス開業以来初めてになった大規模な増改築工事は、縁あってか私がサラリーマン時代に会社の先輩のお手伝いで作図させて頂いた住まいであった。・・・と言っても住まい手であるOさんは当時まだ学生であったのと、私も先輩のお手伝いであり打合せ等は参加しなかった為、全く面識はなく住まいは知りながらもお互い初対面で打合せという、なんとも妙な間合いで打合せは始まった。
基本的には、増改築であるため、構造上の問題がついて回る。よって、すべてが万時要望通りとならないかもしれない事は話し合いで理解して頂いたと同時に、間取りについても細かい要望はあったものの、こちらに殆ど任せて頂くことができ、非常に打合せはスムーズに運んだ。
奥様も増改築を機に二世帯同居をする緊張感からか、始めは頑なであった水周り分離も、時を経るにつれ将来的な事も考え、既存の水周りで対応することで落ち着いた。よって、そのスペースを不足していた収納へまわし、トータルとしてすっきりとした空間が生み出せたのではないかと思う。
15年を経たこの住まいが、温か味のある杉の床と清潔感のある漆喰の壁で、雰囲気を替えまた新たな時間を刻み始めた事を住まい手以上に私自身が喜んでいるのかも知れない