家づくりを進めていると、「どこにお金をかけたら良いですか。」
というご質問をいただくことがあります。
とても大切なご質問です。
限られた予算の中で、何を優先し、何を見直すのか。
それは、住まいづくりの中でも、最も悩まれることの一つではないでしょうか。
しかし私は、「どこにお金をかけるか。」その前に考えたいことがあります。
それは、「どのような暮らしをしたいのか。」ということです。
住まいは、設備や材料の集まりではありません。
そこで過ごす時間や、家族との関わり、日々の心地良さによって、
その価値は大きく変わっていきます。

例えば、毎朝、柔らかな光の中で目覚めること。
窓を開けると、庭の緑や風を感じられること。
家族が自然と一つの場所に集まり、それぞれが思い思いの時間を過ごせること。
こうした豊かさは、必ずしも高価な設備によって生まれるものではありません。
設計の工夫によって生まれることも、少なくないのです。
もちろん、断熱性能や耐震性能など、住まいの基本性能には、
しっかりとお金をかけるべきだと思います。
安心して、長く住み続けるためには、見えない部分こそ大切だからです。

しかし一方で、豪華な設備や流行の素材が、必ずしも暮らしの豊かさにつながるとは限りません。
暮らし方に合っていなければ、その価値を十分に感じることは難しいでしょう。
住まいにお金をかけるということは、高価なものを選ぶことではなく、
自分たちにとって、何が本当に大切なのかを見極めること。
その積み重ねが、住まいの満足度を大きく左右するように思います。

お金とは、住まいの価値を決めるものではありません。
暮らしの豊かさを形にするための、一つの手段です。
だからこそ、何にお金をかけるのかではなく、なぜ、そこにお金をかけるのか。
その理由を大切にしながら、住まいを考えていきたいと思っています。
