住まいを考えるとき、外壁は建物の外側を仕上げるためのものとして、
考えられることが多いように思います。
雨や風から建物を守り、耐久性やメンテナンス性を確保する。
もちろん、それは外壁の大切な役割です。
しかし私は、外壁はそれだけのものではないと思っています。
住まいの外観をつくり、街との関係をつくり、
そして、その家がどのように佇むのかを決める。
外壁は、住まいの「表情」をつくるものでもあるのです。

外壁には、さまざまな素材があります。
塗り壁、板張り、タイル、金属など、
それぞれに特徴があり、耐久性や費用、メンテナンス性も異なります。
そのため、「どの材料が良いのか」というところから考え始めることも多いでしょう。
しかし、私は材料そのものよりも、その材料が「どのように見えるのか」を大切にしています。
同じ素材であっても、張り方や目地の取り方、光の当たり方や周囲の植栽によって、
住まいの印象は大きく変わります。
例えば、木の外壁は時間とともに色が変わっていきます。
雨や風にさらされ、少しずつ表情を変えながら、その場所の時間を刻んでいきます。
新しいときの美しさだけではなく、歳月を重ねたときに、どのような姿になるのか。
私は、そこまで想像して外壁を選ぶことが大切だと思っています。
建物を完成させることが目的ではなく、その後の時間まで含めて、住まいを考える。
それも設計の役割の一つではないでしょうか。

また、外壁は周囲の環境との関係によっても、その表情が変わります。
庭の木々が近くにあれば、外壁に葉の影が落ちます。
朝は柔らかく、昼は強く、夕方には長い影が伸びていく。
雨の日には色が深くなり、晴れた日には光を受けて表情を変える。
外壁そのものが変わらなくても、光や植栽によって、そこに現れる姿は変化していきます。
そう考えると、外壁もまた、自然の気配を受け止める場所なのだと思います。
一方で、外壁は建物と街との境界でもあります。
閉じすぎれば、街から切り離されたように感じることがあります。
反対に、開きすぎれば、住まいとしての落ち着きが失われることもあります。
だからこそ、外壁の素材や色だけではなく、開口部や軒、塀、植栽などを含めて、
どのような距離感で街と関わるのかを考える必要があります。
外壁は、ただ建物を包むものではなく、住まいと外部との間に、
ちょうど良い距離をつくるものでもあるのです。

外壁とは、
建物を雨や風から守るためだけのものではなく、
その家がその場所にどう佇むのかを決めるもの。
時間とともに変化する素材を受け入れ、光や植栽の気配を受け止めながら、
周囲の環境と静かに関わっていく。
私は、完成した瞬間が一番美しい外壁ではなく、時間を重ねるほど、
その場所に馴染んでいく外壁を考えていきたいと思っています。
住まいの表情とは、つくるものだけではなく、時間の中で育っていくものなのだと思います。
