皆さんが住まいをもとうと考える時に「素材」という言葉を必ず耳にすると思います。
では、「素材」と聞いて次に思い浮かぶ言葉はなんでしょう?
おそらく多くの人が「自然素材」という言葉を思い浮かべるのではないでしょうか。
住宅を構成する「素材」には様々なものがあります。
例えば自然素材の代名詞と言っても過言ではない「珪藻土」や「漆喰」ですら
たくさんの種類が存在します。
しかし、それだけたくさんの種類が存在するのには理由があり、
その理由や違いを知る建築主は、それほど多くはないでしょう。

もそも自然素材しか存在しなかった頃の先人が現代をみれば、
「便利になったなぁ」とか「特殊な技術が要らないなぁ」とでも思うのでしょうか?
私は、もっと踏み込んでみる先人がいたら、「その素材は本当に自然素材なのか?」
なんて言われても不思議ではない気がします。
素材の選択が出来なかった時代の先人が、その自然素材の持つ特性を本当に理解して
使い分けていたかは分かりませんが、現代の様な便利な素材が無ければ無いなりに
試行錯誤を繰り返して自然界にある素材を利用して材料づくりをしてきたことは間違いありません。
また、その結果、厳選された素材だけが生き残り、建物に使われてきたのではないかと私は思います。
…と考えた時に、現代の建築にも受け継がれる素材とは何でしょうか?
土、木、石、竹、石灰、植物繊維…等、たくさんあるように思いますが、
その殆どが形を変えた素材として利用されています。
土や石 ⇒ コンクリートやタイル
木や竹 ⇒ 集成材や合板
植物繊維や石灰 ⇒ 塩化ビニールや樹脂等の石油製品
上記にあげたものが全てではありませんが、
再利用は別として、基本的には地球【土】に戻す事が出来ないものばかりです。

地球環境の事だけを考え出すと、家づくり自体が極めて限定的に事になり、
「エコ住宅」とは何ぞや?と深掘りせざるを得なくなりますし、
これらの素材を全て否定して家づくりを考えたとすると
一般家庭では到底手の届かい建築費になってしまう現状が実際にあります。
前回のコラムでもお伝えした、全ては「バランス」だという事を念頭に入れて頂けば、
色々な選択肢が生まれてくると思いますし、現実的な方法だと私は考えます。
例えば…
・肌に触れる部分は、触感に拘って素材を選択する。
・内装材だけでも調湿効果のある素材を選択する。
・住まいは次世代にも残したいので、構造部分は耐久性のある素材を選択する。
・機械設備に頼り切らない生活が出来るような素材を選択する。
…等といった具合にテーマをもって選択する事が良さそうですね。

住宅設計を生業にする私が言うのもなんですが、
素材が良いからと言って、「幸せな家庭」が築けるわけではありません。
あくまでも住まいは、「幸せな家庭を作り上げる器」でしかないわけで、
その中の「素材」は、その器の「一要素」であるだけです。
だからと言って、軽視するものでもありませんが、
最重要ではない事を意識しながら、素材選択をしてみてはいかがでしょうか。
