『デザイン』とは…
『誰にも見えないところにこそ、美しさを宿すべきだ。』と
Macの内部基盤のレイアウトについて語ったスティーブ・ジョブズの有名な言葉です。
どんな物を見て美しさ感じるのかは千差万別ですが、
この言葉の深い部分には、見えないところの美しさが見えるところの美しさに
大きな影響を及ぼす事を表現していると私は捉えています。
これは、全てのモノづくりに共通している事であり、もちろん建築も例外ではありません。
但し、街並みを構成する建築物は、そのデザインが及ぼす影響が大きく
個々が良ければいいというモノではないと私は思っています。
往々にして「〇〇風住宅」やら「デ〇〇〇〇ズハウス」、その時代に流行したイメージをもって
昨今の住宅は建てられてるのが現状です。
ましてや外国人が使う言葉でもないのに「和風住宅」などという可笑しな言葉まで生まれている始末。

繁華街や都市部の建築物は例外として、私が考える建築物(事住宅において)に問われるデザインとは、
『周辺環境に馴染み、日本風土に合った機能をもつ』事こそが、デザインされた住まいだと思います。
では、日本風土に合った機能とは何なのか、挙げればたくさんありますが、
ここでは街並みに大きく影響を及ぼす外部関係をピックアップします。
①日差しや雨をコントロールする深い軒
②反射光を採り込む濡縁(ウッドデッキ)や広縁
③四季を目・耳・鼻で感じる事が出来る大きな開口部
たかが三点ですが、昨今の住宅でこれらを全て網羅している住まいは少ないと思います。
①は、「コストダウンの目的」や「洋風住宅のデザインを優先」して小さくしてみたり、
②は、「手入れが大変だ」とか「日常で使わない」からとかで採用されなかったり、
③は、「気密・断熱が最優先」されたり、「外との繋がりを意識しないが為」に、小さくなったり…と
住まい手が気付かないところで、確実に機能は失われています。

昔の日本家屋には当たり前のように存在していた機能を、
住まい手が知ってか知らずか別として、どんどん省かれているのが実状です。
その大きな原因が、『提案する側の知識不足』と『数字のトリック』だと私は感じています。
この二つの要素は、一見別々の事柄の様に思いますが、極めて密実に関係していると思います。
何故なら、住み心地の基準がC値(相当隙間面積)やUA値(外皮平均熱貫流率)といった
机上で計られる数値で比較されるようになったからです。
それにより提案する側も挙って数値を競うようになり、
『先人の知恵』により存在した機能の理由を知る必要がなくなったからだと私は分析します。

勿論、その数値自体を否定しているわけではなく、
地球環境に配慮する上では、大切な要素の一つだとは思いますが、
その事で先人の知恵が軽視され、見えない機能を失っていくという事は、
『見えないところの美しさは宿されていない』という事へ繋がるのではないでしょうか。
そして、ひいては見える部分の美しさを失っていくことになるのでしょう。
そうならないように、ネット上に蔓延る見た目だけのデザインだけでなく、
設計者や施工者の『プロの提案』に耳を傾けてみては如何でしょうか?
